魚谷繁礼建築研究所
- 住所:
- 京都府 京都市下京区西橋詰町762京栄中央ビル4F
- 会社URL:
- http://www.uoya.info/
- FAX:
- 075-585-4181
魚谷 繁礼
京都府
建築家
電話:075-361-5660
軽井沢の森に静かに佇む、自然と生きる住まい
軽井沢・鹿島の森に経つ住宅。
長い間海外での仕事を終えた施主夫妻は、新たな居住地として軽井沢を選んだ。季節のよい春から秋までの住宅である。
敷地は太くて高い木々が林立した森の中にある。そこでこの森に相応しい、静かな存在感を建物に取り入れながら自然の森に佇む住まいが計画された。
敷地には高低差がある。森の中にあるほんの少し地面が低い光の明るい場所に母屋を配置。母屋は高床式で屋根は高勾配とした。さらに敷地内の各所にとどまらず外観からのアプローチも行った。
母屋内部は玄関からホールの左手をLDKなどのパブリックスペースとし、右手は書斎、浴室や寝室を配した。右手は奥に行くほどプライベートな空間とし、それぞれの部屋において天井の形状や高さをコントロールさせた。
既存の樹木を避けるように雁行型に配置した離れは、床を低く、天井は低勾配とした。冬の積雪を考慮しつつ、和風に仕上げた離れである。
かつては明治時代の植林地で、それ以前は原野だったこの地はあたかも、そもそもの森のよう。それに呼応するように新築されたこの住まいも、時間経過の中で動じない様を見せてくれることだろう。
- テラス
- 外観
- 屋根
- 離れ
- 母屋
- 折戸
伝統的な長屋改修が生んだ街区への自然空間
京都市旧市街の永倉町の住宅。
まさに崩落寸前だった3軒長屋のうちの2軒と、別棟1軒の計3軒を改修、1軒の住宅としたものである。
周辺は同じように老朽化した長屋のテラスや、中高層マンションのバルコニー、開発道路とそれに面した商品住宅街といった現代の京都独特の中に敷地がある。
この改修では、伝統的軸組立法で建てられた既存不適格建築物の再生、旧市街特有の地割りの保全、空き家の活用、街中に安く土地と建物を購入し快適に住まうといった計画が意図された。
母屋(旧長屋)はスケルトンにした上で、新たに壁と床を配し、5つの間を配した。既存の開口を残しつつ、南の開口から北の開口へ繋がる従来の長屋の軸性の名残を残した。
西面は全面開口とし、玄関から空き地へ抜ける新しい空間の流れを創りあげた。母屋東の壁は隣家と連棟で壁を共有しているため、既存の柱の内側に新しい柱を添わせ補強した。
ワンルーム空間となっている母屋と別の離れ(別棟)は、土間、板間、畳間の3室から構成されている。離れの2階の板間と畳間は母屋から離れて籠る際や来客が宿泊する際などに使用されている。
屋外空間は路地、庭、空き地と3つの空間がある。
特にこの住まいを含む街区の中央の空き地は、ぼほ放置された状態となっており、この街区に光や風などの自然をもたらし、街区の猫たちの散歩道となっている。
この長屋改修によって、街中でも自然を感じられ、京都特有の風情を兼ねた住まいが完成した。
- 庭
- 土間
- 離れ
- 空き地
- 母屋
- 改修
- 路地
多様な木材が生んだ構成と”ガランドウ空間”
京都市北西部。近年開発された住宅街の一角に敷地はある。
北東の二面が接面し、東側には道路を挟んで川が流れている。
角地と豊かな緑を生かすため、周囲の家のように新たな塀は設けないという計画となった。
外観から見ると、中央の土間を隔てて2つのヴォリュームにより構成されている。漆喰のヴォリュームは敷地角に面しており、視線をコントロールするため少し飛び出せたようにした。
もうひとつのサイディングのヴォリュームと漆喰のヴォリュームは、内部ではその関係が入れ子として変わる。サイディングの裏吹付け空間に、入れ子状に漆喰の箱が内包されたかたちだ。
この空間での木材の着色の濃さは、木の柱や床、建具や造作家具の構成順序によって塗り分けられている。
自転車愛好家の施主夫妻。家の中でも自転車が周回出来るように、内部の土間をL字に貫通させた。
疎水の緑地帯を拡げるように建物東側前面を畑にあて、開口部からは様々な緑が楽しめる。屋上は草屋根で上がることが出来、遠く東山の山並みへと連なる。
空間を建物の構成から生み出したこの住まいは、手法と要素のふたつを手がかりに設計されたことで出来上がった。様々な生活を規定しながら許容する、多様な可能性を持った「ガランドウ」のような空間である。
- 吹き抜け
- 漆喰
- 土間
- 草屋根
- 畑