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富士宮の家

富士山の南西にあたる街の比較的新しく整備された住宅地にあり、西側を歩道付きの道に、東側を緑豊かな公園に接した30m近い奥行の敷地であった。

道と公園のそれぞれに対し外部空間を介して関係をもつよう、二つの庭を設け、中央に建物を配置した。

道に開いた前庭は、芝を敷き詰めた広場のような雰囲気の空間で、畳の間や玄関先から孫が遊ぶ様子を眺めることができるようになっている。一方、奥の庭園は、1.5mほど高いレベルにある公園との間に法面を設けて、緑が繋がっているような印象をつくり出し、木々を映す池を中心に、紅葉や花など、四季を楽しめる庭とした。

建物は、この二つの庭に開いた構成で、中央には天井高3.9mの吹抜空間が、庭どうしを結ぶように貫通する。玄関、客間、書斎、食堂、居間といった場が層状に連なる続き間になっており、それぞれの居心地が良くなるような幅と奥行を与えている。層を成す壁に穿たれた開口や欄間格子が重なって見通せ、高窓からの光が刻々と変化し、風が通り抜ける気持ちの良い空間で、二つの庭の様々な表情を眺めることができる。

そしてここを中心に、その他の部屋も含めて二方向以上の出入口を設け、行き止まりなく回遊できる計画になっており、年配のご夫婦がおおらかな生活をおくれるように意図した。