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光が季節の移ろいを感じさせる家
都内のなかでも緑の多い、閑静な住宅街に建つ家。
敷地は南北に細長く、南側と北側は道路に、東側と西側は隣家に面している。
テラスで空と緑を楽しみながら食事をしたいというのが建て主の要望。
当初は2階リビングを希望していたが、道路に面した南側1階に中庭を設け、中庭の両翼にそれぞれダイニングとリビングを配置するプランを提案。
南から北まで光が抜け、奥行きを感じる住まいを目指した。
南側の道路は近隣のマンション専用の広い駐車場に面しており、駐車場に出入りする車以外、人通りは少ない。
そこで、通行する車が見えない程度の高さの外壁で中庭を守り、外部の視線を適度にカット。
プライバシーは守りつつ、中庭を通して光と空、緑を住まいに取り込んだ。
気候が許せば、中庭は心地良いアウトドア・リビングダイニングになる。
内部空間には漆喰や無垢のチーク材など、自然素材をふんだんに使用。
光に満ち溢れた空間というより、光の陰影を感じられる落ち着いた空間をつくった。
光を絶妙なバランスで取り込むことで、時間や季節の変化を身近に感じられる。
光のグラデーションが心を穏やかにしてくれる、居心地の良い住まいが完成した。
玄関からリビングを見る
玄関からリビングまでの廊下。
正面に坪庭があり、視線は外の光へと導かれる。
LDとの間にスクリーンを設けあえてほの暗くしたことで、奥の明るさが際立つ。
燦々とただ明るい空間より、光と影のコントラストがあったほうが心を穏やかにしてくれると考え住まいをつくった。
リビングから中庭、ダイニングを見る
玄関のある北からリビングのある南に向かうにつれて明るくなり、奥行きを感じる。
ダイニングとリビングの中間に、南の道路に向かって中庭を配置。
外部からの視線を遮るのにちょうどいい高さの塀で囲まれているため、プライバシーを守りつつ、緑と空を楽しむことができる。
中庭の窓を開け放てば、ダイニング、中庭、リビングがひと続きに。
天気が良い日にはテラスでの食事を楽しんでいる。
中庭からダイニングを見る(夕景)
昼間のリビングダイニングは南から日が注ぎ明るく清々しいが、日が暮れるにつれて陰影が生まれ、静謐な空間へと変わる。
光によって季節や時間の変遷を感じることができる。
ダイニングから中庭を見る
ダイニングから中庭を介してリビングへと視線が抜ける。
リビング
空に対して開けた南側に、リビングを配置。
リビングのみ、勾配屋根の平屋となっている。
夏至の太陽の高さに合わせ傾斜をつけており、冬場でも高窓から最大限に採光できるように。
リビング
リビングのソファから見えるのは、庭の緑と空だけ。
プライバシーが守られた庭によって、カーテンなしの暮らしができる。
リビングの高窓
高窓から注ぐ日光は勾配屋根に導かれ、正面にある中庭にまで届く。
2階へと向かう階段
階段脇にも光が通るスクリーンを設置。
トップライトからも光を取り込んだ。
2階の廊下には本棚を造作。
階段は腰をかけて本を読む、ライブラリースペースにもなる。
和室
玄関の右手、北側の道路に面する位置に和室を設けた。
地窓からは緑と木製フェンスが見える。
外観
北側道路から見た外観。
窓は、外部からの視線を防ぐ配置に。
外壁は塗り壁で、温かみのある雰囲気。