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中庭が人と自然をつなぐ家
田畑広がる岡山県西部に建つこの住宅は単線に沿い、のどかな風景に溶け込んでいる。
転勤生活を繰り返していた施主夫妻は、ご両親や自分たちの将来を見据えた結果、豊かな山並みに囲まれたこの地に居を構えた。施主は単身赴任をしながら、週末はこの家で過ごすという二重生活を送る。
道路に面した外観はギャラリーのように凛とした佇まいだが、西側にかけてL字に配されたコンクリート壁の内側は、木の温もりが感じられる平屋造りとなっている。
玄関は奥行のある土間空間。広い上り框を備え、年老いたご両親へのバリアフリーに配慮した。
中は明るく木材本来の質感を生かした造りになっており、物静かな玄関とは対照的。
その雰囲気づくりに大きく影響しているのが、三つある中庭の存在。
中でも施主の想いをシンボリックに表現しているのは、ヤマボウシの木が植わった中庭だ。
その中庭をコの字型で取り囲むように部屋を配置することで、光と風が抜ける開放感を生み出し、リビングから四季の変化を見てとれる。
季節のうつろいを目の当たりにし、自然が日常にある住まい。
恵まれた環境と共に成長し、やがて訪れる定年後の生活がより豊かなものになる。
外観正面
空と外壁と芝のコントラストが鮮やかな西側正面の外観。
シンボルツリーと壁のスリットがリズム感を作る。
車庫・エントランス
コンクリート壁の裏側には平屋。
二つの相反する素材の使い方が面白い。
玄関前は車庫になっており、道路からも愛車が見える。
玄関から見る中庭
玄関から外壁裏の中庭が見える。
ひっそりとした土間に差し込む陽光が優しい。
リビング
大きな開口部と片流れの天井が印象的なリビング。
オープンキッチンになっているため、リビングを広く見渡すことができる。
リビングから見る中庭
左手に寝室、右手には和室が配されており、南側に面した中庭越しの風景を望む。
リビング
地窓にすることで、よりダイナミックに光と風を取りこむことができる。
中庭
リビング、和室、寝室、どこにいても見渡すことができる中庭。
段差がなくフラットであることで、内と外をゆるやかに結ぶ。
和室
中庭と高窓により、閉じていながらも抜けの良い和室。
弧を描く壁、斜めに設えた床の間、よしず張りの天井など、随所にこだわりと遊び心が垣間見える。
寝室
他の部屋と比べて、プライバシーが守られた寝室。
中庭側から見ると、景色の一部に車両が走る。
南側外観
すぐ横を線路が通る南側外観。
和室と寝室の壁にもなっているコンクリート壁は、周囲の視線を遮るだけでなく防音効果も併せ持つ。
中庭の夕景
夕景の中庭は、また違った雰囲気を醸し出す。
それぞれの部屋に灯りがともり、光を透して緩やかに繋がる。