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ふたつの「庭」が海沿いの空から光を届ける家
海の絶景と伝説地の石川県加賀市尼御前に建つ家。海沿いの町特有の敷地だが、高速道路に挟まれているうえ、西面以外は隣家が差し迫っている。
そのような環境で建てられた住まいは、光が取り入れられる西面に大きく開口部を設け、建物の北西部分と南東部分を隅切りし、ふたつの庭を設けた。
西面の高さを抑えつつ設けた開口部からは、高速道路越しに加賀の橋立を望む事が出来る。
隅切りで設けられた庭の北西部分は、隣接している親戚宅のサンルームへの光を妨げない仕組みになっている。反対側の南東部分の隅切りは、車3台分の駐車場を確保するためのスペースを兼ねたものだ。
このふたつの部分に設けられた庭によって、明るさを十分に取り入れ通気性も確保。プライバシーを保ちつつ、閉塞感の感じられない住まいを実現させた。
「庭」から光が溢れる2階部分はLDKをワンルームとし、天井は屋根の架構をそのままに生かした。梁の大きさを抑えつつ、垂木の架け替えによって庭の反射光をより優しく取り入れることが出来た。
1階部分はポーチ、テラス、玄関を中心とした造りとし、周りに寝室、仕事部屋を配し、よりよい動線を確保。
コンパクトにまとめられた住まいは海沿いの街並みと調和した造りとなった。
ふたつの「庭」によってもたらされたのは、展望や内外部だけではなく尼御前の伝説そのままの風景と空をも取り入れた住まいである。
東側外観
外壁はフッ素性樹脂塗装ガルバリウム銅板。
玄関前ポーチ上部には一部吹き抜けを設けた。
南東部の隅切り部分は駐車場スペースとして確保している。
2階LDK
2階LDKはワンルーム化。
様々な方向に架け替えた重木の天井が印象的。
ふたつの庭からもたらす光が空間を優しく包み込む。
2階ダイニング
2階のLDKが一体化した天井は木の架橋をそのまま現している。
積雪荷重を考え槧の負担を分散するため、重木を多方向に差し替えた。
フレーミングされた木枠の窓と垂木が構成する造りが、場の多様性を生み出している。
南東部分から景色を望む
2階キッチンから庭を介し、ダイニングから加賀の橋立を望む。
庭部分の腰壁は400mm設け、安心感と開放感を造り出した。
2階洗面所・浴室
キッチンから繋がる洗面所は動線も確保。
窓を多方面に持たせ、通気性を保っている。
浴室のガラス扉が洗面所と一体化し、開放感を感じさせる。
テラスと中庭から玄関を臨む
テラスに面した中庭の扉を開けると、外側と繋がる。
正面の開口部は玄関と繋がり、開放感を確保し十分な明るさを取り入れた。
階段から庭を臨む
テラスに面する開口部は建具によって開閉することが出来る。
1階部分は玄関を挟み、テラスとポーチを中心として個室を配置。
緩やかな動線を確保している。