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離島に佇む南国の自然を受け入れた開放的な平屋
沖縄県の離島、石垣島から定期便で40分のところに浮かぶ西表島。島の大半は国立公園であり、90%は亜熱帯の原生林に覆われた島である。
この島に移り住んで14年になる施主の家族構成は30代夫婦と子供2人。住まいの設計にはプライベートツアーのガイドをしている施主のゲストがくつろぎながら絶景を楽しめる事もポイントとなった。
島には高校がないため、殆どを家族で過ごすという住まいの必要な諸室はリビング、ダイニング、寝室、キッチンとシャワーにトイレ。加えて施主の仕事道具が入る大きめの収納とシンプルだ。
寝室は2つの入口があり、わずかな期間ではあるが子供部屋として区切れるように設計された。
屋根は雨水を溜めない切妻屋根を採用。外壁につく潮気を洗い流すために樋(とゆ)は設けていない。
沖縄の古い伝統的建築手法である雨端を再考し、建物の東西に低い庇(ひさし)を出した。特に日当たりの良い西側の庇は深めに取り、同時にテラス部分も深めに取ることで、家族の様々な生活シーンで有効に活用されている。
台風対策で雨戸を設けることが主流の西表島だが、停電の際には雨戸を閉め切った状態では暗く冷房もないまま数日間過ごすこともある。そこでこの住まいでは、大型台風にも耐え得る特殊防風ネットを庇先端に取り付けられるように設計。大きな開口部を飛散物や暴風雨から守り、そよ風程度にカットしながら採光と通気を確保するように工夫された。
約21坪と決して広くない住まいだが、絶景にせり出した2メートルのデッキと眺める景色が狭さを感じさせない。
独特の人間関係や地域と共に、自然とも馴染むこの島ならではの住まいが誕生した。
外観
西側の外観。西表島の海沿いの集落に建つ鉄筋コンクリート造で切妻屋根の平屋。
建物の東西に低めの庇を出し、室内外を緩やかに繋げるテラスを設けた。
庇先端のボルトに防風ネットを取り付けることで、台風時の暴風雨を防ぎ採光と通気を確保出来る。
リビングからのパノラマ
リビングからの展望。
木製の引き違い窓を開放すると西側に2メートル、東側に0.75メートル伸びるテラスによってダイニングと共にワンルームのように使うことが出来る。
奥の寝室とは収納壁で仕切られている。
テラス
両先端の庇部分のボルトに防風ネットを張ることによって暴風雨をしのぐことが出来る。
外観
防風ネットを張った外観。これにより暴風をそよ風程度に弱めてくれる。
建物から海を見る
切妻屋根から農場の向こうに海を眺める。鉄筋コンクリート打ち放しでドラゴン塗布の屋根は、外壁に付く潮気を洗い流すため、敢えて樋を設けていない。
リビング、ダイニングから西側を見る
リビングとダイニングの床はチークフローリング仕上げ。開口部分はキッチンとなっている。
シャワー室とトイレ
シャワー室とトイレはFRP防水トップコート仕上げとした。
東側テラス
斜面に面する東側テラス。横1800mm、縦2100mmの木製サッシが6枚並ぶ大開口部の一番右端が玄関となっている。