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光と風を織り成す大開口の「鉄骨造」の佇まい
福岡市内の古くから開発された住宅地の一角。緑豊かな地域の斜面地であり、日当たりの良い南向きの建物。
茶道と音楽に造詣が深い施主は、この場所に招かれる来客を楽しませる為のゲストハウスを必要とした。
自然環境に恵まれたこの土地に開放感を求めた答えは、主要の構造を鉄骨造とその柱とし、木の垂木で支える屋根、木造の外壁と開口部とした「木質空間」にあった。
木製の連続した開口部は内部に連続した周囲の景観を取り込み、諸々の個室は床の高低差、開口部の大きさ、木造の建具と壁でそれぞれ違った表情を持った空間となっている。片流れ屋根は、夏の強い陽射しを制御し、冬は自然光を取り入れ床のタイルに蓄熱する。中間期には北側開口部上部の自然換気をコントロールする仕組みだ。
どの位置から移動してもその開口部から望む景観の変化の過程を見ることの出来るこの建物は、光と風を十分に取り込んでいる。素材として木材を使った複合構造により活かされた大開口部を持つゲストハウスとなった。
外観
福岡市郊外の小高い丘の位置にある建物の外観。
東西方向に約1.5mの高低差があり、豊かな緑を南北にたたえる。
茶室は一番高いレベルにある西端部にあり、南側庭からのアプローチも兼ねている。
リビング
南の開口部周りは、木製建具の見付けと鉄骨柱を合わせることで視界の広い抜けを造り出している。
日射の調整、視線を適度に遮るのは開口部下部に設置された木製ルーパーの家具。
2階より
1階にダイニング、2階にスタジオを見る。
北面も大開口部とし、無双連子窓により重力換気を促す。
和室より庭園
茶室周りの縁側のコーナーもガラス張りの開口部により開放。
程よい露路の景観を取り込んでいる。
縁側には畳が敷き込まれ、お茶事の客口となる。
庭には蹲居が設置されている。
和室
和室床の間を見る。
天井は3種の仕上から成っている。
400mm幅のスギ板目材を張った駆け込み天井、平天井は竿縁にスス竹とシロ竹を使い、張り出しの天井には蒲天井。