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時の流れに呼応した「4つの空間」を持つ多世帯住宅
東京・調布市に建つ多世帯住宅。
時代と共に激しく変化する周辺環境と多様な住まいのあり方に対応する建物が求められた。
建蔽率40%が上限であり残りの60%は「庭」となる余白の演出がポイントとなった。
そこで専有部分である個室群を対角線上に配した。屋内外に広がる砂利や金属メッシュや磨りガラスにより、余白部分を共有部分とし、近隣との曖昧な視界のテクスチャーを図った。
敷地内には「屋内・半屋内・半屋外・屋外」と4つの異なる空間が、多様なグラデーションを生み出し、開口や空調をコントロールすることで住まいのあり方を生み出した。
また、親世代、子世代、下宿人により構成される多世帯住宅に求められた距離感をこの「余白」によって対応し、多様な住まい方を可能にした。
外観は敢えて「真新しさ」を求めることなく、時代の流れによる経年変化に重きを置いた。その土地固有の気候に応えるかのように、不均質に外観を造り上げ、自然な風化を求めるものとなった。
時の流れ、多種多様な住まいのあり方、時間の中で振る舞われる自然による変化。
この「風化」によって「4つの空間」を持つこの住宅はそれに応えている。
外観
時と共に変化する周辺環境や家族構成に合わせた建物の外観。
外壁は敢えて経年風化が現されるよう加工した、金属粉体塗装が覆う。
淡い光をかもし出すエキスパンドメタルは内側と外側で二重に。
メッキ塗装が内側にのみ施されている。
個室
ホワイトで統一された個室から庭を見る。
各室の入り口扉には姿見を設置。
庭の様子が扉を開けると反射する。
室内と室外のレベル差は50mmと、平面性を出している。
南側外観
南側から外観を見る。
エキスパンドメタルの内側から柔らかな明かりが溢れるのが印象的。
透け方は内側と外側で90度変えて見る事で、違った透け方として目に映るようになる。
2階共有の場
2階共有の場より見る。
1階扉と同じ規格の正面開口部は幅2570mm、高さ2100mmと開放的。
バスルーム
共有の場から浴室を見る。
砂利と同色の腰壁で囲んだ浴室は、その高さを水回りや物が隠れる程度に抑え、共有の場と連続させている。
カーテンの開閉以外の使用されない間は、敷地内外と連続された空間となり統一感を生み出した。
外観一部
エキスパンドメタルの使用された外観。
繊細な明るさをコントロールしている。