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人々が集まる商店街の中の立ち寄れる「樹」の家
東京都、西小山に事務所を構えて12年になる施主は、今回自身の事務所と住居を兼ねた住まいを建て替えることになった。
全国的に商店街という機能がなくなる現代社会において、この西小山でもその波は感じられる。都市の中で生命を持ち、商店街の中において地域の住民と溶け込み、想い出に残るような住まいを計画した。
建物は1階にオープンスペースを設けた。年代を問わず気軽に立ち寄れる商店街としての価値を見出したものだ。また工事期間中にワークショップを開催し、外壁となる銅板に桜の刻印を地域の子供からお年寄りまでの700名が参加し、その刻印を打って貰った。後々のこの建物に、年月と共に成長する姿としての建物を残したいとの想いだ。
建物本体も、自然から育つ木のイメージとした。核(コア)となる幹線を階段室とし、枝のように葉(フロア)が繋がる空間とした。地下室は木の根の部分を現すように柱槧をはわせ、同時に地上部の「木」を支えている。
生命感を与える印象のスキップフロアの採用、地上3階まで行くにつれ光の広がりを見せる構造は、あたかも天に昇るイメージを与えている。
経年しても成長を続ける木のように、建築としても「樹」のようなイメージのようなこの住まいは、地域の商店街の中で共に生き続けるものであるだろう。
外観
地上3階、地下1階からなる建物の外観。昔ながらの商店街に馴染む外壁の佇まいが印象的。経年や街の変化と共に生き続ける樹木のような構造が伺える。
1階オープンスペース
1階のオープンスペースは、地域の人々が気軽に立ち寄れるようになっている。
軒に見立てた耐力壁となるコアから、床や壁を支える槧が枝上に持ち出される。
ウッドデッキの床を横切るコンクリート面も槧となっている。
階段室を見上げる
コンクリート耐力壁を幹のように見立て、槧が枝上に張り出す形を現している。ダイニング・キッチンが左手腰壁向こうにあり、右下玄関には収納棚を設けた。
建設中のワークショップ
建物の銅板に桜刻印を打刻する風景。
商店街の企画のひとつだが、施主の想いを込めて開催されたこのワークショップでは、約700人が参加した。
都市のツリーハウス
アカシア無垢フローリング仕様のリビング、ダイニング。木毛セメント板の天井と対比的な印象。階段室を挟む南北の居室は、スキップ状に緩やかに繋がっている。
3階リビング
天井高約1500mm~4000mmの3階リビング。
ハイサイドライトに囲まれた部分はテラスとなっており、同時に採光も確保している。