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竹林風洞〜建築家のアトリエ兼自宅〜
オフィスと住宅、大型車4台を収容できる駐車スペース、そして庭。
間口8m×奥行き30mの細長い敷地にさまざまな様相を盛り込んだ平面プラン。
RCや鉄骨、SEなど特殊な構造を使わず、普通の木造で組み立てよう。
登山に例えれば、無酸素単独エベレスト登頂のような(?)難題を自分に課して、プロジェクトを開始。
図面を見たプレカット屋は絶句しましたが、無事竣工にこぎ着けました。
床下暖房、蓄熱暖房、室内のシーンの作り方、家具やキッチンの造作などさまざまな試みがそれなりに成功した、自邸プロジェクトです。
竹林風洞 全景夜景
「竹林風洞」を象徴する竹のファサード。
向かって左には表面が緑と黄色の2色になる珍しいキンメモウソウ(金目孟宗竹)を、向いにはハチク(破竹)を配置しました。
竹は根がのびるのが心配でしたが、40cmより下には伸びないそうで、基礎の高さや盛り土でブロックしています。
竹のファサードは意外にご近所でも好評です。
竹林風洞 竹林夕景
陽が傾いて来ると、室内の灯りが中庭にこぼれます。
中庭に面して上下階とも窓を大きくとることで、直射日光を避けつつ太陽の光を十分確保する狙いがあります。
夜にはその窓から、あたたかな光が落ちて来ます。
竹林風洞 キッチン 竹林から
竹林から眺めるキッチン。窓を開け放して、庭と一体で楽しめるスペースです。
ホール、中庭からキッチンまで同じタイルを敷き詰めて、連続性を強調しています。
奥へ奥へ視線を誘導することで、面積以上の広がりと開放感を演出できます。
竹林風洞 ホール夜景
2階の書斎吹き抜けから、1階のホールを見下ろしたところです。
珪藻土の白、タイルのベージュ、白木という色の取り合わせで、創造の場にふさわしいイノセント(無垢)なデザインとしました。
竹林風洞 ホール
アプローチのタイルは、玄関からホールへ、そして中庭の竹林へと続きます。
珪藻土が天井まで広がる壁が、中庭からの光と風をやわらかくたたえています。
右手の全開口サッシを開け放すと、竹林と一体となるスペース。 コンサートやパーティに利用できる、解放感あふれるホールです。
竹林風洞 ホール 階段
吹き抜けのホールにある、壁で隠れた階段。
2階はオフィススペースになっていて、大きな本棚が壁の端から端まで備え付けられています。
本棚の上は4つのトップライトが連なり、光あふれる空間。
ソファやデッキチェアが無造作に配置され、図書室のおもむきです。
竹林風洞 キッチン
「竹林風洞」のもう一つのコンセプトは如何に収納をデザインに取り込むか。
キッチンはこのように、冷蔵庫・オーブンレンジ・食器棚・炊飯器・トースターのすべてを、通気性のある扉の奥に収めました。
食器洗い機とIHクッキングヒーターをセットしたステンレスキッチンを、人工大理石のテーブルトップで覆いました。
竹林風洞 キッチン夜景
建物の奥はプライベートなスペース。
左側にキッチン、右側は大きなダイニングテーブル。毎日の食事はもちろん、人が集うコミュニケーションのスペースです。
広いカウンターはビュッフェテーブルにも、カウンターバーにも。 夜が更けたら照明を落として、ゆっくり腰掛けたくなるカウンターです。
竹林風洞 ダイニング
ダイニングテーブルは、先に買ったチェアに合わせて作ったものです。
2mの長さで6人ゆったり座れます。
正面に点景としてイロハモミジの株立ちを植えました。
足下の照明をつけると、夜もテーブルから庭が楽しめます。
竹林風洞 キッチン〜ダイニングスペース
建物の奥にあたる部分は、プライベートなスペース。 1階にキッチンとダイニングスペース、2階が寝室というシンプルな構成です。
夕食二人家族に必要なスペースの最小値ですが、空間の2面が庭に接する開放感は格別。
小さく作ってゆったり暮らす、そんな家づくりを実践しました。
竹林風洞 デッキ
事務所棟と住宅棟をつなぐブリッジにデッキ材を敷き詰めて、展望台のようなスペースを作りました。
中庭の竹林が上まで伸びて、空中庭園の様相です。
デッキチェアを出してビール片手にお月見するもよし。洗濯物を干してもよし・・・。
ちょっとした遊びのスペースが、家にプラスアルファの表情を与えます。
竹林風洞
当社のアトリエ兼自宅、コンセプトは「竹林風洞」。
風と光をはらむ竹林、竹林と一体となる洞窟のような建築、という意味が込められています。
温度や湿度を一定に保つことで、自然を楽しみながら自然に左右されない室内環境を確立しました。
前庭、中庭、裏庭と連続させることで、光と風がすべての居室にふりそそぐ、気持ちのいい空間を実現できました。
更新日時 2014年06月11日