針葉樹の代表格の杉については、皆さんもよくご存じの木材だと思います。
花粉症の悪いイメージが先行して、杉材の効能については意外に知られていないようです。
今回は、杉材の良さに触れながら、杉材にこだわり新たな製品生み出そうと努力を続ける建材メーカーをご紹介します。
杉材の効能
杉を建材として使った場合に期待できる効能には以下のようなものがあります。
空気浄化
大気中の有害物質やアトピー、シックハウス症候群の原因であるホルムアルデヒドを吸着し、きれいな空気を送り出します。
湿度調整
水分保持機能で、寒い時は触れて温かく、暑い時は足の裏の水分を吸収し爽やかに過ごすことができます。屋内の湿度を調整する作用もあります。
免疫作用
人の身体にある免疫対に働きかけ、免疫力を高めます。また、カビやダニ、ウィルスの増殖を抑制する効果もあります。
その他、フィトンチッド(木の香り)が森林浴効果でストレスをやわらげたり、リフレッシュさせる効果などもあります。
阿蘇の小国杉について
秋田県の秋田スギ、青森県の青森ヒバ、長野県の木曽ヒノキは日本の三大美林として有名です。
その土地の気候や風土によって生み出された良質で、産地の名をとった有名な木材は他にもあります。
九州中央部の阿蘇山の裾野に広がる熊本県の小国町は、250年前の江戸時代に細川藩から各戸に25本ずつ苗木が渡されことに始まった歴史を持つ林産地で、今でも立派な古い木がたくさんそびえ立っています。
小国町は山間高冷地のため九州でありながら、夏は涼しく冬はマイナス10°にもなる厳しい寒さが訪れます。
この寒暖差が木目の詰まった比重の重い丈夫な小国杉を育くみました。
構造面の強度と粘り、淡い桃色としっとりした艶感は通常の杉とはあきらかに異なり、国の施設などにも使われる優れた性能を有しています。
小国杉の強度(ねばり)
小国杉は、国立林業試験場において、国内初の実大引張試験等を実施(昭和61年)し、国の木造設計基準数値45を大きく上回る70の数値が引っ張り強度が確認されています。
淡い桃色としっとりした艶感
一般杉との白味比較
一般的な杉と比較すると、淡い桃色と黄色味を帯びた色調がわかります。
小国杉の使用例
一般杉よりも硬質で耐久性に優れるため、建材として多くの施設などに使用されています。
小国地域の取り組み
小国は温泉源が散在し、その地熱を利用した環境に優しい自然の地熱木材乾燥にも取り組んでいます。
中低温で時間をかけての地熱乾燥は石油、電気乾燥の高温処理では出にくい自然な素材感にもなり、林業を通じたCO2削減に地域が一体となって取り組んでいます。
安心供給材(森林管理認証システム)
森林組合は、適正な森林管理と環境に配慮した木材の証明である「SGEC」と「SGEC-CoC」の認証を受けています。
小国町の山林の多くが認証森林であるため、山から木材がお客様の手元に届くまでの流通経路が追跡できます。
町立の中学校で実証実験
九州大学との実証実験で、杉材を使ったイスや机の方が生体を守る免疫の活動が活発になることがわかりました。
杉材にこだわる建材メーカー
この地で、大正13年に製材業として創業し、新しい製品開発に挑み続ける平川木材工業という会社があります。
日本で初めてオスモUVカラーラインを導入するなど、いち早く最新の機械を取り入れ、JAS取得認定工場で厳しい管理の元、品質の向上と付加価値の高い製品開発に取り組んでいます。
仕上げの最終工程まで全て自社内で一貫生産ができる会社は少なく、オリジナリティの高い商品開発を可能にしています。
以下はその一例です。
Japanese Burning wood(焼杉板)
Japanese Burning not wood(不燃材)
Japanese shaving wood(杉・桧・松レリーフ)
素材を活かし、新しい視点でこだわりの商品を開発する建材メーカーや興味深い商品は、まだまだたくさんありますので、また、ご紹介して参ります。
今回、掲載した各商品についての詳しい内容は、後日ご紹介します。