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古い家の思い出を残し、図書館のような家に改築
坂や路地の多い街、神楽坂に建つ、木造2階建ての家。
建て主の祖父母の代に建てられた築50年ほどの家と、その後増築された築40年ほどのアパートを改築し、夫婦ふたりと愛猫のための住まいをつくった。
古くなってしまった平屋は思い切って減築し、緑豊かな庭に。
2階建てのアパートだった部分を改修し、吹き抜けでつながる開放的な一体空間とした。
1階部分は玄関から続く土間と、その隣を寝室に。
2階部分はフローリングにし、LDKと個室を配した。
以前は出版社に勤めていた建て主は、多くの書籍を持つ。
そこで、2階をぐるりと囲むように本棚を造作。
本に囲まれた図書館のような空間になった。
改修を進めていくうちに現れた良い色の柱や力強い梁は残すなど、古い家が持つ味わいを活かした住まいが完成した。
本に囲まれ、2匹の愛猫は1階と2階を自由に‟キャットウォーク”。
昔からの家の思い出を携えながら、建て主らしい心地良い暮らしを送っている。
玄関土間
1階部分は玄関から続く土間の床に。
土間の中心に階段がある。
土間から一段上がった板の間には水回りや納戸を配置。
土間と板の間の間には洗面ボウルを設けた。
正面にある小あがりの和室は夫婦の寝室。
土間から庭を見る
築50年の平屋を取り払った跡は庭となった。
シンボルツリーとしてヤナギを植え、その下には庭園がある。
土間から庭を見る
構造柱は残し、取り払っても耐震上問題のない壁は取り外して開放的な空間に。
柱に貫が入っていた部分の穴をモルタルで埋め、かつてそこに壁があったことが分かるようにしている。
1階板の間
土間から1段上がったところにある板の間にはオープン棚を造作し、ご主人の書籍などを収納している。
1階2階ともに壁に本棚を巡らせ、本に囲まれた生活を送っている。
1階水回り
廊下から水回りまでオープン棚が続く。
サニタリーではタオルや生活用品を収納している。
1階土間
階段と小あがりの間には、建て主の祖母が使っていた箪笥を置いている。
2階
2階をぐるりと囲むように、開口部にも無頓着に棚を巡らせた。
壁を取り払い柱のみ残しているので視線が広がり、開放感がある。
本棚
2階北側にも全面に広がる本棚。
図書館さながら、書籍は作家別、ジャンル別に分けて収納されている。
リビング・ダイニング
以前はアパートのキッチンと和室だった場所。
天井を取り外すと立派な梁が出てきたので、そのまま梁を現した。
壁面収納
LDKのコーナーには写真集やカメラ、CDなどのコレクションを収納。
オーディオ機器の高さに合わせて棚板をカットした。
キッチン
リビングダイニングとひと続きのキッチン。
書斎
2階の東側にある夫婦の書斎。
引き戸を閉じると個室になる。
外観
細い路地から、格子戸を空けて家に入る。
外観は以前とほとんど変わっておらず、壁には以前建っていた平屋の屋根の跡が富士山の形のように残っている。
かつての痕跡を残し、古い物を活かした住まいとなった。