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閉じた箱の中に、趣の違う4つの庭を持つ家
駅にほど近く、ビルや住宅、マンションが点在するところにある家。
敷地の両側には建物が建ち、さらに将来は南側、北側にもマンションなどの建物が建つことも予想される。
周囲には特に住まいに取り込みたい景色はないため、外に対しては閉じ、内側に‟自然”をつくろうと考えた。
南北に奥行のある敷地を目いっぱい使って建てたのは、真っ黒な箱のような3階建ての建物。
外から見るとほとんど窓がなく、すっかり閉ざされている。
閉じた外部に対し、内部に広がるのは、抜け感のある開けた空間。
趣向の異なる4つの中庭を配し、住まいのあちこちに緑をちりばめた。
まずはアプローチに沿って低木を植えた前庭が。
玄関ホール正面に中庭、玄関ホール右手に南庭、北側の和室に面して、和を意識した北庭を設けた。
3階建てのボリュームに合わせて、中庭や南庭にはハイノキやヤマボウシといった背の高い植物を植えている。
木々は1階から空に向かって貫くように伸び、家のどこに居ても緑が目に入る。
閉じた箱の中は、まるで森林の中にいるかのような自然溢れる空間となった。
南側外観
黒のガルバリウム鋼板に囲まれた、箱のような建物。
外側にはほとんど窓がなく、閉ざされている。
右手の大きな開口はガレージ、その左にエントランスがある。
住宅ポーチ
玄関へのアプローチに沿って、ひとつめの庭である前庭をつくった。
玄関ホール
玄関を入ると正面にはヤマボウシを植えた中庭が見える。
南庭
ハイノキを植えた南庭。
中庭のヤマボウシは落葉樹、南庭のハイノキは常緑樹。
庭によって異なる植物を植えることで、季節ごとに異なる表情を楽しむことができる。
玄関ホールからの眺め
閉じた箱の中とは思えない清々しい空間が広がる。
吹き抜けによって上下にも視線が抜け、庭の緑と光が透過する。
抜け感と透け感を大切にし、開放感ある空間をつくった。
北庭
1階北側に面した北庭。
真竹にモミジ、つくばいと庭石を配し、和を感じるしっとりとした雰囲気に。
和室
ほの暗い室内と、光溢れる庭のコントラストが美しい。
聚楽壁と庭の緑が調和する。
寝室
1階西側に配した寝室。
北庭と中庭に面している。
中庭に対して大きく開くと玄関からの視線が気になるので、高窓にした。
2階廊下
中庭と南庭の樹木が2階にまで伸びている。
庭と庭の間にはデッキテラスを設けた。
2階テラス
南庭を挟むように、2つのデッキテラスを設けた。
周囲は3階まで覆う外壁に守られており、空にのみ視線が抜ける。
緑と青空を楽しめる、贅沢な場所。
音楽室からテラスを見る
2階南側には、防音仕様の音楽室をつくった。
外壁に囲まれているため、窓を開けて演奏すると音が反響する。
リビングダイニング
2階北側に配したLDK。
中庭と北庭に囲まれ、光に満ちている。
リビングダイニング
リビングは大きな吹き抜けとなっており、心地良い開放感がある。
3階廊下
3階の北側から南側を見る。
北側の子供室と南側の書斎を結ぶ廊下は吹き抜けに面しており、右手にはリビング、左手には2階のテラスを見下ろす。
家事室・ホール
2階ホール部分に設けた奥様の家事室。
玄関と繋がる吹き抜けによって、家族の気配を感じ取れる。
書斎
3階南側に配したご主人の書斎。
窓からはデッキテラスを見下ろす。