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100年の歴史を持つ煉瓦倉庫に包まれた‟隠れ家”
築100年以上のレンガ造の元倉庫をリノベーションした住まい。
レンガ倉庫は、戦前は石油関連の会社の貯蔵庫として、戦中は燃料工場として使われてきたもの。
その後、建て主のお父様が家具を製作する木工所として買い取った。
時を経て木工所は畳まれたが、建て主は思い入れのあるレンガ倉庫を住居にしたいと希望。
建築家も、歴史的にも貴重な建築であるレンガ倉庫を残すべきだと、意見が一致した。
築100年超えの古い建物ではあるが、この倉庫のレンガの積み方は「オランダ積」で、壁が厚く強度があるのが特徴。
将来は目地に樹脂を入れて強化することも視野にいれ、レンガ倉庫をそのまま残すことにした。
ただ、建物は倉庫として建てられたため、天井高が6ⅿもある巨大な空間。
住まいとして快適な場所にするために工夫が求められた。
そこで、レンガ倉庫の内側にもう一つの空間を造り、そこを住まいとするプランを採用。
既存の倉庫の内側に、東西約13ⅿ、南北約6.4ⅿ、天井高2.4mの鉄骨造の建物をつくり、レンガ倉庫の中に佇む「隠れ家」のような住まいに。
大空間の中にもうひとつのコンパクトな空間をつくることで、断熱性にも優れた快適な住空間を実現した。
住居を取り囲むレンガは多孔質で、調湿性にも優れている。
住居の壁面は全面ガラス張りにし、100年の歴史を重ねてきたレンガを眺めて暮すことができる。
内装は主張しすぎず、レンガに馴染む素材を選択。
床にはアフゼリアの無垢材、天井にはポプラ合板を張った。
レンガと同じように組積したコンクリートブロックが住空間を緩やかに仕切る。
長い歴史の中、変わらずそこに佇んできたレンガ倉庫。
新しい住空間を内包し、新たな時を刻み始めている。
エントランス
レンガ造りの建物に内包されたもう一つの空間。
玄関を入るとすぐにリビング・ダイニングが現れる。
LDK
倉庫に覆われた住まいのため、いかに光を取り込むかが問題となった。
そこでLDKの上部3か所にトップライトを設け、既存の天窓から光を取り入れた。
内装はレンガの色調や重厚感が引き立つよう、落ち着いた仕上げに。
床には蜜蝋ワックス仕上げのアフゼリア無垢材を使用。
木目が美しく、肌触りも良い。
天井はポプラ合板、トーンを抑えた空間に、黒いレザーのソファをコーディネートした。
キッチン
キッチンからエントランスを見る。
エントランスの扉は杉板材で新たに造ったものだが、扉の表面に墨汁で陰影をつけてエイジング加工。
滑車は既存のものを再利用した。
キッチンカウンターに連続するダイニングテーブルは、床材と同じアフゼリアで造作。
中庭
倉庫と内部の住居の間に空白の空間を設けることで、調湿、調温に優れた快適な住空間を実現。
ガラス張りの住まいから、趣あるレンガの壁を眺めることができる。
和室
西側に設けた和室。
ガラスの面から内側340mmの幅をモルタル仕上げにし、室内から玉砂利敷きの中庭までを繋げた。
和室から玄関のほうを見る。
レンガ壁とガラス壁の間に敷き詰めた白い砂利が光を反射させ、明るく感じる。
バスルーム
ガラス張りのバスルーム。
レンガの壁に覆われているため、外部からの視線を気にせず寛ぐことができる。
床には磁器質タイルを貼った。