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職人の技を感じる、自然素材の端正な家
商店や住居が混在した街に建つ家。
家業の質屋を引き継ぐことになった建主は、母屋の隣に新居を増築することに。
母屋は昭和9年に建てられた歴史ある建物で、石造りの立派な蔵が付いている。
母屋とのつながりを考慮しつつ、快適で趣ある住まいを計画した。
母屋とつながる1階部分には、建主のお母様の居室と、陶芸室やステンドグラス工房を設けた。
石畳の路地を通って玄関まで向かうと、右手にはガラス張りの応接室が、
街と住まいとを繋ぐ空間となっている。
2階は建主家族の居住空間。
中央にあるLDKは天井高5mのダイナミックな空間。
屋根の勾配をそのまま表し、天窓から明るい光が差し込む。
住まいのどの開口部もガラス窓の内側に格子の建具を入れており、外から光や風が入るようになっている。
格子を通して入る光はただ煌々と室内を照らすのではなく、味わい深い陰翳を与えてくれる。
内部空間は、職人の技を感じられる美空間。
オリジナルの建具や造作家具、ひとつひとつにこだわりが詰まっている。
土や木や竹、紙…多様な自然素材を使用し、機能的でありながら安らげる空間となった。
職人の技巧が生きた、力強い家が完成した。
北側外観
造りの良い母屋と蔵の隣に新設した新居。
屋根は一文字瓦葺。
北側外観
道路側は木格子にし、街に対してほどよく開いている。
外壁は色漆喰木ごて仕上げ。
エントランス
通りに面したエントランスから玄関まで伸びる石畳の路地。
モミジ越しに母屋が見える。
路地
敷石は伊豆の青石。
左手にはガラス越しに応接室が見える。
応接室
前面道路と路地に面した応接室は、家と街とを結ぶ場所になっている。
二方向で外とつながり、街の気配を感じる。
玄関から路地、応接室を見る
ドアを開けると玄関と路地、応接室が一体化し、内と外との繋がりを感じる。
式台の木は、トチの一枚板。
玄関
玄関ホールを介して母屋とつながっている。
玄関
ステンドグラスがはめ込まれた格子戸から、庭に出ることができる。
2階LDK
屋根の勾配をそのまま表したLDK。
天窓から差す光でや格子から入る優しい光で満たされている。
壁は経年と共に徐々に白くなる土佐漆喰。
和室
茶室にもなる客間。
障子からのみ採光し、陰翳のある空間となった。
壁は京壁、天井は矢根羽網代。
竿縁にはサラシ竹と女竹を使用している。
ロフト
茶室の上にあるロフトは予備室として使用。
洗面
木や石の素材感が心地良い洗面、浴室。
浴室
隣家との間は塀で囲って樹木を植え、開放的な浴室となった。