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多様な木材が生んだ構成と”ガランドウ空間”
京都市北西部。近年開発された住宅街の一角に敷地はある。
北東の二面が接面し、東側には道路を挟んで川が流れている。
角地と豊かな緑を生かすため、周囲の家のように新たな塀は設けないという計画となった。
外観から見ると、中央の土間を隔てて2つのヴォリュームにより構成されている。漆喰のヴォリュームは敷地角に面しており、視線をコントロールするため少し飛び出せたようにした。
もうひとつのサイディングのヴォリュームと漆喰のヴォリュームは、内部ではその関係が入れ子として変わる。サイディングの裏吹付け空間に、入れ子状に漆喰の箱が内包されたかたちだ。
この空間での木材の着色の濃さは、木の柱や床、建具や造作家具の構成順序によって塗り分けられている。
自転車愛好家の施主夫妻。家の中でも自転車が周回出来るように、内部の土間をL字に貫通させた。
疎水の緑地帯を拡げるように建物東側前面を畑にあて、開口部からは様々な緑が楽しめる。屋上は草屋根で上がることが出来、遠く東山の山並みへと連なる。
空間を建物の構成から生み出したこの住まいは、手法と要素のふたつを手がかりに設計されたことで出来上がった。様々な生活を規定しながら許容する、多様な可能性を持った「ガランドウ」のような空間である。
テラスを見る
2階の建具を外すと吹き抜け空間となり、1.2階が連続する。
柱や建具、家具などの木材は、それぞれ構成順に色が塗り分けられている。
北東側から建物を見下ろす
天井は草屋根とし、東側の緑地帯と連携している。
東側外観
外壁仕上げは中央の土間を境にして変わっている。
右は漆喰塗り、左はサイディング。
前面の土地は畑にも使われている。
テラスを見る
テラスの梯子から、屋上の草屋根に上がれる仕組み。
ワンルームスペース
ワンルームとなった土間、居間、厨房。
中央の木の階段はそれぞれ下半部を「塊」、上半部を「線」、踏み台を「面」として構成している。
土間
室内の土間には水回りのヴォリュームが入れ子状に配され、その周りを土間がL字状に貫通している。
北東側外観
緑道に面した角地に経つ。
L字型の土間によって東面から北面に自転車で通過出来る。
2階テラスの一部が切り取られ、内部の様子も垣間見える開放的な住まい。