- Like!
- 0
方形の平屋 力強くも優しさのある小住宅
いつも依頼者の境遇や個性を基に設計に取り組んでいる。
住宅という、不特定多数ではなく基本依頼者本人しか使用しないビルディングタイプにおいては、依頼者の生活スタイルやキャラクターに特化して設計するのが合理的である。
最大公約数的な一般解のハウスメーカーに依頼せず個人の設計事務所に依頼しているのも、それを期待しての事だと思われる。
この住宅の依頼者は、60代のひとり暮らしの女性である。
数年前にご主人を亡くし、残りの人生をひとり暮らしとしてスタートする出発点としての家づくりであった。
どのような住宅がこの依頼者にとってふさわしいのだろうか。
さまざま思考を巡らす中で、心の支えとなる力強さと大きく包み込む包容力、また心を癒してくれるような優しさをこの住宅で表現したいと考えるに至った。
もしかすると、それはご主人の存在そのものを体現しようと考えたのかもしれない。
力強い方形屋根を架け、その屋根下に大きく包まれるような一室空間が広がる。
室内はうっすら色味のある漆喰壁にブラックチェリーの無垢材。
優しい自然素材に包まれ、天窓からの陽光が室内を明るく照らしている。
依頼者は一人ではなくご主人と共に暮らす住宅と感じてもらえたら幸いである。
外観
2階建ての家々が並ぶ中、住宅へと歩みを進めると平屋の屋根が輝いている様子が目に入ってくる。
道路側からの眺め
道路側からの眺め。十字形平面に方形屋根が乗った形となっている。
外観
平面形状は十字形をしており、切り取られた建物四隅は、玄関アプローチやウッドデッキなどの半屋外空間となっている。
玄関詳細
玄関土間と室内床高さは3センチの段差としている。黒塗装の外壁に、白塗装の靴箱と白の土間タイルが映えている。
ダイニング
ダイニング越しにキッチンを見る。キッチンの手元を隠すように羽目板張りを高くしている。中央右手の矩形は洗面室側にある洗濯機置き場の外形。
リビング
寝室から玄関側を見る。窓外に緑が広がっている。2つの窓下に沿ってL型のカウンターが玄関へと伸び、手持ちの小物を飾ることができるようにしている。
天井の見上げ
寝室側から天井を見上げる。方形屋根の勾配と同じ形状の天井。
庭を見る
抽象的な白の空間に、庭木の緑が映えている。
リビングダイニング
南側から多くの光が入ってきている様子がわかる。窓下に伸びるカウンターが壁面を引き締めている。
天井の見上げ
天井を見上げると、折り紙で折ったようなきれいな線が対角上に走っている。八角形の四本の柱が屋根を支えている。
ダイニング
日中でもキッチンが常に明るくするために、キッチンシンク上に天窓をつけている。
キッチンからの眺め
キッチンに立つ時間が長い建て主にあわせて、キッチンからの眺めが一番良いようにしている。
玄関
玄関廻りは、小さくも素材感を大切に。こだわりの型板ガラス、壁貫通型ポスト、12足入る靴箱手掛けはナラ、白50角土間タイル。