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多目的な空間を持ち、暮らしの可能性を広げる家
隣家が近隣した地に建つ、黒い箱のような一軒の家。 開口を最小限に抑えた閉ざされた印象の外観だが、内部は従来の住まいにはない、思いがけない空間が広がっている。 立方体の建物の中に、大小様々な大きさの木の箱を積み上げるようにして各部屋を構成。 リビングとダイニングキッチン、和室がある1階、寝室と子供室、水回りがある2階、そしてロフトと、3層構造になっている。 各居室には建具を入れておらず、箱に設けた開口で全体が繋がる。 また、吹き抜けで1階からロフト部分までも繋がりトップライトから自然光が抜ける、室内というよりは庭のような開放的な空間となっている。 箱と箱の間の余白部分は幅の広い廊下として、また部屋として使うこともできる多目的なスペースに。 住み手の思うように空間を利用することができる。 ”間取り”という概念は、この家には当てはまらない。 住空間の可能性を引き出す、新しい住まいの形がここにある。
日常の余白を大切に、白い安らぎの家
家づくりに選んだのは、袋小路を区画整理した閑静な住宅地。 前面に駐車場を持つ、二階建ての家が並んでいる。 建て主は、共働きの両親と子どもたちからなる核家族。 家族がそろうのはおもに朝と夜という、あわただしい毎日を送っている。 忙しい毎日の中で家で過ごす時間が豊かになるように、余白をデザインした。 ラッパ型に広がる余白は、廊下であり、子どもの遊び場であり、光の通り道になっている。 家具を置かず、自由に回遊できるスペースが家の中心にあることで、落ち着いた時間を持つことができる。 静かな空間と活動的な空間が隣あい、家族が行き交う住まいが完成した。