ハルナツアーキ
- 住所:
- 石川県 金沢市長町1-3-12
- 会社URL:
- http://hn-arch.com
- FAX:
- 076-216-5610
村梶 招子
石川県
建築家
電話:076-216-5610
大開口の窓がつくりだす平屋の新しいかたち
島根県は出雲平野に位置し、広大な田園が広がるロケーション。
この100坪ほどの敷地から見える風景を住居の中に取り入れたい、というのが30代の施主夫妻の希望だった。
この恵まれた眺望を暮らしの一部に取りこむため、大きなピクチャーウィンドウを構えることにした。
玄関からまず目に入るのは、両側に大きくひらけた開口部。
どこにいても光が入り、風通しの良いおおらかな雰囲気となっている。
部屋を仕切る壁や柱のないシンプルな間取りであるが、寝室の床を80cm下げることで生活動線にメリハリをつけ、プライベートな場をつくりあげた。
開口部が道路に面しているため往来の視線が気になるところだが、LDKを高くして既存の防風林の上に窓をあつらえることで、プライバシーに配慮。
日当りの良い南側は、家庭菜園やガーデニングを楽しめるようスペースを大きくとった。
焼スギの外観に映える白いテラスは、家族が庭の畑を眺めるための絶好の特別席となっている。
けして広くはない住宅でありながら、邸内の高低差と景観を最大限に生かした結果、降り注ぐ光と風が気持ちのいいミニマムかつ快適な室内空間がうまれた。
- テラス
- 窓
- 平屋
- 借景
- 開口部
- 焼スギ
離島に佇む南国の自然を受け入れた開放的な平屋
沖縄県の離島、石垣島から定期便で40分のところに浮かぶ西表島。島の大半は国立公園であり、90%は亜熱帯の原生林に覆われた島である。
この島に移り住んで14年になる施主の家族構成は30代夫婦と子供2人。住まいの設計にはプライベートツアーのガイドをしている施主のゲストがくつろぎながら絶景を楽しめる事もポイントとなった。
島には高校がないため、殆どを家族で過ごすという住まいの必要な諸室はリビング、ダイニング、寝室、キッチンとシャワーにトイレ。加えて施主の仕事道具が入る大きめの収納とシンプルだ。
寝室は2つの入口があり、わずかな期間ではあるが子供部屋として区切れるように設計された。
屋根は雨水を溜めない切妻屋根を採用。外壁につく潮気を洗い流すために樋(とゆ)は設けていない。
沖縄の古い伝統的建築手法である雨端を再考し、建物の東西に低い庇(ひさし)を出した。特に日当たりの良い西側の庇は深めに取り、同時にテラス部分も深めに取ることで、家族の様々な生活シーンで有効に活用されている。
台風対策で雨戸を設けることが主流の西表島だが、停電の際には雨戸を閉め切った状態では暗く冷房もないまま数日間過ごすこともある。そこでこの住まいでは、大型台風にも耐え得る特殊防風ネットを庇先端に取り付けられるように設計。大きな開口部を飛散物や暴風雨から守り、そよ風程度にカットしながら採光と通気を確保するように工夫された。
約21坪と決して広くない住まいだが、絶景にせり出した2メートルのデッキと眺める景色が狭さを感じさせない。
独特の人間関係や地域と共に、自然とも馴染むこの島ならではの住まいが誕生した。
- テラス
- 鉄筋コンクリート
- リビング
- 平屋
- 庇
- 切妻屋根
- 防風ネット