住宅のダイニングテーブルなどに使われているようなしっかりした木材を使用した木製のビジネスデスクを採用する会社が増えています。
林野庁の研究では、無垢材を使った事務所ではタイピングの作業成績が高いなど生産性を高める効果が確認されており、生産性向上などを勘案すれば価格が高くても導入したいと考える企業が増えているようです。
木材が人に与える効果
木材には以下のような効果があり、人に心地よい感覚を与える素材です。
適度な湿度に保つ
木材は、空気中の湿度が高いときには水分を吸収し、湿度が低いときには水分を放出するという調湿作用をもっています。
このため、木材を建物の内装などにたくさん使うと、部屋の中の湿度の変動は小さくなります。
断熱性や衝撃に対する安全性が高い
木材は、無数の細胞からなり、そのひとつひとつに熱を伝えにくい空気を含んでいるため、コンクリートなどに比べ高い断熱性をもっています。
木材、ビニールタイル、コンクリートを床材にして、足の甲の皮膚の温度変化を測定すると、コンクリートがもっとも足が冷え、木材がもっとも冷えなかったという結果が得られています。
また、木材は、パイプ状の細胞が柔軟に変形してクッションのような役目をするので、例えば、大理石に比べて2~3倍の衝撃吸収能力があります。
このため、床や壁に木材を上手に使用することは、転倒などによるけがの防止につながります。
目にやさしく、音をまろやかにする
木材は、紫外線をよく吸収するため、木材から反射する光にはほとんど紫外線は含まれません。
紫外線の反射が少なければ、目に与える刺激も小さくなることから、木材は目にやさしい材料であるといえます。
また、木材は、音を適度に吸収してまろやかにし、心地よく感じる範囲に調整してくれます。
木材を使った部屋は「音がいつまでも響かず適度に反射する」ので音が聞きやすいといわれています。
その他にも、抗菌効果のあるフィトンチッド成分が放散されることで、空気の浄化作用や心の情緒を安定させて気分を爽快にするといった効果も期待できるなど、実にさまざまな機能を備えています。
効果の事例
オフィスや学校などに木材を使用すると、そこで過ごす人たちにもたらす効果が実際に確認されています。
例えば、校舎を木造にすると、教師の疲労感が和らぎ子どもの集中力が高まるといった、以下のような研究成果があります。
校舎のちがいによる学校教師の疲労蓄積の比較
町立の中学校で実証実験
九州大学との実証実験で、杉材を使ったイスや机の方が生体を守る免疫の活動が活発になることがわかりました。
木製のビジネスデスクの実例
多くの時間を過ごす場所として居心地の良いオフィスにすることで、人材確保につなげたり、コミュニケーションを活性化する目的で、大手企業だけでなく、中小企業なども積極的に導入しています。
以下の事例は、決して価格の高いデスクではなく、好みの樹種とサイズの天板(集成材)とテーブル脚をうまく組み合わせて、ネットで購入したオフィス用デスクです。
森林が国土の面積の約7割を占める日本にとって木材は大切な資源でもあり、地域の資源を有効活用することは、地域の創生に極めて重要なテーマでもあります。
この国産材の振興の流れも追い風に、国内で生産された木材を活用してオフィスを木質化するこのような事例が徐々に広がっています。