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投稿記事
奈良市にある大正時代に建てられた住宅のリノベーション。建物は主に借家として用いられ、何度かの増改築を経て空き家になり放置されていました。雨漏りや蟻害によって柱・梁や土壁が深刻な被害を受けており、庭に増築された水廻りと伸び放題の樹木によって鬱蒼とした状況でした。建替えも検討しましたが、3面道路後退の影響で同規模の建物が建たないことや、お施主様が町屋に住みたいという強いご希望をお持ちだったことからリノベーションを選択しました。しかし土壁を耐震補強し伝統構法で修復するためには新築を超える時間や費用が必要です。また家全体を断熱補強・高気密化すると屋内と屋外が緩やかに繋がった町屋らしい雰囲気も壊れてしまいます。そのためコンパクトな居間を家の中心に据えて現代的な工法で耐震補強・断熱補強を行ない、その周りを玄関・収納・ガレージ・縁側・トイレ・書庫・階段から成る半屋外の「透き間」で囲んだ入れ子状の間取りとすることで、コストを押さえつつ、屋内・半屋内・屋外の3つの領域が重なり響きあうような、町家の雰囲気を引き継いだ住まいを設計しました。
YYAA 山本嘉寛建築設計事務所 大阪府 建築家
- 角磁器質タイル
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小屋と母屋をアトリウムで繋いだリフォーム住宅
今回の計画は、大正初期から昭和中期にかけて建てられた、築100年オーバーのリフォームだった。 木造伝統工法の「牛小屋」、両親が暮らす「母屋」、そして賃貸長屋が露地を介して建っていた。 この3つの建物を繋ぐ「露地」を重視した施主は、建物内に露地を引き込むことによってこの3つの「箱」をひとつの「集合体」として繋ぐことに。 リビングルームとなった元「牛小屋」、賃貸長屋棟はダイニングキッチン、2階は寝室とクローゼットとした。古き伝統の土壁や漆喰は出来る限り復旧し、足りない素材は現在のものを使用している。 露地部分を木造平屋として増築しひとつになった建物は、露地を介して視線が程よく抜けて繋がる。露地の床はマットブラックの600角磁器質タイル張り。ポーチから浴室まで直線に張り上げることで、外部と内部の曖昧さを造り出し、露地の存在感を現した。 「箱」が連結する中心部の屋根葺きは透明とし、アトリウムを配して南北に繋がる空間に採光を落とし込んだ。 現在暮らす施主夫婦と両親の2組の親子にとって、このリノベーションは建物を「親子」として共存する住まいとなった。 古くからなる三つの異なる木造住宅。地域性の中で伝統的なフォルムと素材を変えないことは、緊張感を持ちながらも新鮮な、威厳のある風格の「一体化」した建物となった。