住宅の全体のイメージや暮らしやすさに大きく影響する床材には、よく使われる木質のフローリングをはじめ、タイルやクッションフロアや畳など様々な種類があります。
床材の種類と知っておきたい基礎知識をまとめて、住宅の居室の用途に合わせた床材の選び方をご紹介します。
床材選びの基本
住居空間の仕上げ材として広い面積を占める床材は、インテリアのイメージを左右するとともに、素足で歩いたり、直接座ったりと肌が触れることも多く、心地よさにも大きく影響する建材でもあります。
また、素材の選び方によっては、日々のお手入れやメンテナンスのしやすさなども異なります。
床材選びの基本は、部屋の使い方や暮らし方に合わせて検討することです。
例えば、リビングであれば好きなインテリアテイストや快適さ、キッチンや洗面室ならメンテナンス性も考慮するなど、その部屋に必要な性能の優先順位を明確にして選択することが大切です。
その上で、床暖房を設置したり、ペットを飼うのであれば、それに適した素材なども検討しましょう。
畳やカーペットが主流だった時代から変わり、今では住宅の床材の大部分でフローリングが使われていますが、それ以外の素材も含め、主な床材別に特徴をご紹介します。
床材別の特徴
複合フローリング
表面の化粧単板の厚みは0.3mm程度の突き板から、2mm前後の挽き板(ひきいた)を使用した商品もあり、基材と突き板を合わせた厚みは、12~15mmのものが一般的です。
複合フローリングは、無垢フローリングに比べて、寸法安定性が高く反りや狂いが少なく、床暖房に対応する商品も多いという特徴があります。
表面の化粧単板が厚みのある場合は、無垢材のような質感の商品もありますが、化粧単板の厚みが薄い商品の場合は、キズが付いたら下の基材が出てしまうなどの弱点もあります。
<商品選びのポイント>
塗装や加工技術の向上で様々なニーズに対応した商品があります。
基本的にはワックスがけなどの定期的なメンテナンスは必要ですが、ワックスフリーのタイプや汚れやシミが付きにくいタイプの塗装をした商品などがあります。
ペット用に表面を滑りにくくしたものや、水に強い表面加工をしたものなどもあります。
表面の種類についても、従来はナラ、カバといった突き板が主流でしたが、現在はウォールナットやアッシュなどの種類も増え、空間のカラーやデザインに合わせやすくなりました。
表面の光沢などもチェックして、全体の調和を考えて選ぶと良いでしょう。
<主なメーカーの商品>
無垢フローリング
「単層フローリング」とも言われ無垢の木材をそのまま利用したフローリングのことです。
複合フローリングに比べると寸法安定性は劣りますが、木の持つ独特の温かみや自然素材のもつ効能などが特徴です。
大きく分けると、スギやヒノキなどの「針葉樹」とオークやチークなどの「広葉樹」の2種類に分かれます。
針葉樹は断熱性や柔軟性に優れていますが、キズが付きやすいのが欠点です。
一方、広葉樹は硬くて耐久性に優れているものが多いです。
<商品選びのポイント>
使用する木の種類によって性質が違うため、部屋の用途やどのような快適さを重視するかを考えて木材を選ぶ必要があります。
例えば、冬でも素足で過ごしたい場合は、温かみのる針葉樹が良いでしょうし、フローリングの見た目を長持ちさせたい場合は、キズに強い広葉樹がおすすめです。
無垢フローリングの中でもいくつかのタイプがあり、「一枚もの」と呼ばれる1枚の木をそのまま加工したものや、「ユニタイプ」と呼ばれる縦つぎに長さの違うものを継いだものなどがありますので、フローリングが貼りあがった時のイメージもチェックしておきましょう。
<主な樹種>
広葉樹:オーク(ナラ)、バーチ(カバ)、チーク、カリン、ウォールナット 等々
シートフロア
印刷技術の向上で、天然木や素材の風合いを再現しながら、キズがつきにくく耐久性が高いのが特徴です。
様々な木材のパターンが揃っている上、印刷なので天然木材のような色ムラが少なく安定しています。
耐久性の高い特殊なシートを使用しているため、日焼け、褐色、ひび割れなどの心配も少なく、長期に渡り、新品同様の風合いを維持できます。
<商品選びのポイント>
ペット対応で滑りにくい商品などもあり、生活スタイルや使用シーンに応じて、デザインや表面加工の種類をチェックして選びましょう。
人工物であるため、自然素材の質感には及ばないのは否めませんが、木材のままでは難しい幅広の商品やシートフロアならではの優れた性質をうまく活用しましょう。
クッションフロア
塩化ビニル樹脂などを使用したビニル系床材で、水に強いため、キッチンやトイレ、脱衣所などの床材としてよく使用されています。
発泡剤を樹脂の中に入れ込む技術によって、素材内部に空気を含ませた発泡層があることで下記のような効果があります。
- 素材が軽いため、運搬しやすく、施工もしやすい。
- 素材の中に含まれる空気によって、断熱性が高い。
- 直接足に触れた際に感じる柔らかさや温かみが、素足で過ごす習慣のある日本人に向いている。
<商品選びのポイント>
用途に応じて「厚さ」を選ぶことがポイントになります。
一般的なクッションフロアは、1.8mm程度の厚さですが、2.3mm、3.5mm、4.2mmのような分厚いタイプもあります。
高齢者のいる住宅やペットを飼っている家庭など、生活環境やその部屋の用途などに応じて選ぶようにしましょう。
その他、表面が滑りにくく加工されたものや、光の反射を抑えて高級感を出したタイプなどがあります。