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投稿記事
約90㎡のマンションのリフォーム計画です。
住戸に対して3面ぐるりと広いバルコニーが取り巻き、最上階であることの見晴らしと併せて、面積以上の広がりを感じます。
一方では、住戸内には動かすことのできない、上下階とつながる大きな柱状の構造体(ダクトスペース)が3つあり、今回のフルリノベーションでは、それらを上手く間取りに取り込みながら、玄関から続く広くのびやかなリビングダイニングと、機能的にぎゅっとまとめたキッチンなど水廻り、コンパクトな個室という、メリハリのある空間構成となっています。
動かせいダクトスペースの大きなボリュームを逆手に、敢えて大谷石仕上げとすることでオブジェのようなその存在感は、広い空間にさらに奥行き感じさせます。また出入りがしにくく視覚的な障害にもなっていた既存窓下の30cmほどの立ち上がりには、連続性を持たせるために大谷石のステップを設えました。
リフォーム前からお持ちになっていた素敵なビンテージの家具が馴染むよう、白い壁ではなく、ノイズ「斑」・素材感のある仕上げで、場所や材料ごとテクスチャーの違うものを丁寧に組み合わせました。動かせないコンクリートの壁には「大谷石」、梁形には「化粧せっこうボード」、壁や天井に「ジョリパット」、床には節のあるフローリング。「斑」の種類や大きさは違いますが、色調をグレイッシュに統一することにより、家具などの調度品と空間がうまくまとまっています。落ち着いた空間の中にも、子供室やキッチン壁などには、遊び心のあるタイルやクロスをアクセントに。
ブラインドからは柔らかな光が、西窓に設えたウッドシャッターからは美しい光の模様が差し込み、日々や季節を通していろいろな景色・表情を見せてくれます。
株式会社アオイデザイン aoydesign 神奈川県 建築家
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日常を忘れさせる、彫刻のようなミニマルハウス
昔ながらの瓦屋根の家が立ち並ぶ住宅地に建つ、地上2階建ての家。 真っ白な外壁によって閉ざされた内部空間もまた白一色。 外の喧騒を忘れさせるような、異世界が広がる。 建て主の希望は「ミニマル」「白い空間」「周囲と隔絶」をキーワードとした住まい。 周囲との隔たりを生んで内部空間を充実させるため、敷地面積およそ500㎡に対して建築面積をあえて130㎡に抑え、外壁は敷地の外側でなく内寄りに建てた。 壁を立てて建物を構成するというより、白い大きな塊を彫るようなイメージを目指した。 1階にはLDKと和室、2階には個室とバスルームを配置。 1階、2階ともに、水盤になるテラス設けた。 水盤が建物や空を鏡のように映し出し、幻想的な光景が広がる。 高い壁で守られた内部と水盤のテラスから目に入るのは、白い壁と青い空だけ。 非日常を演出する、真っ白な洞窟のような住まいが完成した。
山本卓郎建築設計事務所 東京都 建築家
芝庭に開けた、L字型の美しい住まい
傾斜地に建つRC+S造のモダンな家。 斜面の高低差を利用して基壇*をつくり、その上に芝生の庭と、その庭に沿うようにL字型の建物を配置。 どの居室も芝庭に開けた、開放的で眺めの良い住まいをつくった。 L字型の1階には、リビングがふたつある。 ひとつは友人や親族をもてなすための来客用、もうひとつは家族が寛ぐプライベート用のリビング。 エントランスを入るとフォーマルリビングが現れ、その奥にはダイニングキッチンを介してファミリーリビングが。 奥のファミリーリビングまではひと続きの空間だが、フロアのレベルに差をつけて公・私のメリハリがある空間をつくった。 内部空間は白を基調とした、シンプルで美しい空間。 キッチンに設けた大容量の壁面収納の中にはキッチンツールだけではなく、お子様の勉強机なども収納。 徹底的に物を隠すことで、生活感を排除した。 整然とした空間は、眺望をより一層引き立てる。 光に満ちた清々しい住まいで、美しい暮らしが実現した。 *基壇…建物の最下部にある、地面よりも高く築いた檀。
山崎壮一建築設計事務所 東京都 建築家
居場所が見つかる眺望の間
傾斜地のてっぺんに建つ住宅です。傾斜地の特徴を活かしてスキップフロアーにして、レベルごとにいろんな居場所をつくりました。傾斜にとった階段テラスや、風景に開いた浴室、ベンチを作り付けた暖炉のあるダイニングなど。最上階には4方に風景を望める居場所があります。とりわけその一つは少しだけ床が彫り込まれた場所で大人も子供も心地よく居られる場所です。
中庭が人と自然をつなぐ家
田畑広がる岡山県西部に建つこの住宅は単線に沿い、のどかな風景に溶け込んでいる。 転勤生活を繰り返していた施主夫妻は、ご両親や自分たちの将来を見据えた結果、豊かな山並みに囲まれたこの地に居を構えた。施主は単身赴任をしながら、週末はこの家で過ごすという二重生活を送る。 道路に面した外観はギャラリーのように凛とした佇まいだが、西側にかけてL字に配されたコンクリート壁の内側は、木の温もりが感じられる平屋造りとなっている。 玄関は奥行のある土間空間。広い上り框を備え、年老いたご両親へのバリアフリーに配慮した。 中は明るく木材本来の質感を生かした造りになっており、物静かな玄関とは対照的。 その雰囲気づくりに大きく影響しているのが、三つある中庭の存在。 中でも施主の想いをシンボリックに表現しているのは、ヤマボウシの木が植わった中庭だ。 その中庭をコの字型で取り囲むように部屋を配置することで、光と風が抜ける開放感を生み出し、リビングから四季の変化を見てとれる。 季節のうつろいを目の当たりにし、自然が日常にある住まい。 恵まれた環境と共に成長し、やがて訪れる定年後の生活がより豊かなものになる。
有限会社NEO GEO 大阪府 建築家
風景を切りとる多面体の家
まるでアート作品を想起させるような、エッジの効いた佇まい。 施主のセカンドハウスとして建てられた木造二階建は、眼前には東京湾、背後には崖という自然に満たされた環境にある。海風や日光に晒される環境の中で永続しうる建物を考えた結果、堅い殻をまとった巻貝のような形状になった。 三角形の連続で形づくられた構造は、折り紙のように立体的でほぼ直線で構成されている。 その中で特殊な存在となるのが、入ってすぐの大きな円柱とダイニングキッチン。 二つの曲線がアクセントとなり、居住スペースの印象を柔らかくする。 南から西にかけて二面にひらけたリビングの開口部からは、壮大な地平線を望むことができる。 見る場所や時間によって表情豊かになるパノラマは、この素晴らしいロケーションと特徴的な構造体だからこそ成せる技。外殻に守られながらも外にも広がるこの住まいは、安心感と自然との一体感が共存する理想の週末住居となる。
株式会社 廣部剛司建築研究所 神奈川県 建築家
内と外の境界線と風景に連なるグラデーション
鹿児島・錦江湾越しに桜島を見る、小高い山の中腹にこの5人家族の住まいがある。 眼下に望む広大な錦江湾の風景はただただ美しい。しかしこの地域では桜島の火山灰の影響によって、日常的に窓を開け放した生活をすることはない。 そこでこの計画では、建築と外部を完全に分断してしまうのではなく、逆に風景と繋がるような住まいを目指した。 外と中を隔てる場所に空間を設け、内部での行為が外部に近い場所まで拡張され、閉鎖的でありつつ外部空間を感じられる。壁厚を拡げることで、内外部の間の中間領域を造り、ウインドウスペースなどの「外部に近い空間」を生み出した。また軒を深く出して内部をやや暗めに設定することで、景色は鮮明に浮かび上がり、日常生活と景色はより親密な関係を造り出している。 内外を隔てる壁である場所に空間を設けることで、境界は内と外、外と内を豊かに繋がっている。 それは境界の内外をグラデーションのように連なる、新しい形の住まいの完成となった。
立体的な光溢れる空間を持つ、のびのびとした住まい
埼玉郊外、私鉄沿線沿いの閑静な住宅街。夫婦と子供二人の4人家族の専用住宅である。 二台分の駐車スペース、明るく家族の気配が感じられるワンルーム的空間、屋上スペースの確保が施主の意向としてこの住まいは計画された。 本来、外部空間である屋上を生活空間に取り入れた3階建ての住まいは、最上階のキッチンの上にテラスを積み重ね、天井が高いリビングとダイニングと一体化している。リビングから屋上へとのぼる階段と、開放的なテラス空間を連続させた。2階には3階部よりやや天井高の低い寝室を配し、1階の玄関からは建物の中央に階段が設置されている。その階段に接するように洗面、トイレなどの水回りを配し、回避出来る動線を確保している。 決して広くはない少住宅でありながら、行き止まりがなく、光や空に開放されたようなのびのびとした、奥行きのある空間を持つ住まいが誕生した。
吉田豊建築設計事務所 広島県 建築家
環境に対応した”大屋根”と”段々畑”を持った住まい
出雲地方の象徴とも言える「北山」が背後にそびえた地域。 のどかな自然が残されたこの地域だが、一方で出雲大社に続く幹線道路もあり落ち着かない環境にある立地の住まいである。 このような環境の中で考えだされた建築回答が「大屋根」と「段々畑」だった。 道路と建物の間に背丈ほどの盛り土を設け、外部からの要因を緩やかに遮り、盛り土と続くように伸びる片流れ屋根が建物を風雨から守っている。更にこの盛り土と内部空間の間に大きな軒下空間を造り出し、段々畑はガーデニング好きの施主の奥様により様々な植栽が植えられた。 この緑豊かな空間は、1階の居間に対する大屋根とも相まって中庭的空間を造り出した。また大屋根には施主の仕事も兼ねた太陽光パネルが設置され、エネルギーのコントロールを図りつつ、深い軒によって夏冬の陽射しもコントロール出来る仕組みとなっている。 夏も暑く雨も多いこの地域で、大屋根や深い軒が日陰を落とし、雨よけになることで折角の中庭やデッキテラスが「使えない場所」にならないよう配慮がなされた。自然の地ならではの外の風や緑をより感じられるものとなっている。 従来の田舎の家作りとは異なった形であるこの住まいが、この地域性に新たな風景や周りの環境に溶け込んでいくものとなっていく期待を生み出すものとなるだろう。
原浩二建築設計事務所 島根県 建築家
緑の中に穏やかな光を取り入れた開放的な住まい
広島市街から東へ車で20分程の、閑静な住宅地にある3人家族の住まいの計画。 施主は3つのレベル差をもち、開口約9m、奥行き22mと南北に長い敷地を選択した。 また奥の最上段には菜園を持ちたいという施主の要望もあり、車庫の上部と敷地の緑はそのままに、抜けのある居住空間が計画された。 吹き抜けのリビングの南にはスラブを出したテラスを配し、前面道路からの視線を遮りながら柔らかく光を通すエキスパンドメタルで覆われている。1階の性活スペースは、半透明の可動家具によってダイニングとリビングが繋がれている。一方北側の空き地には草木の溢れる裏庭を設け、開口部と隣接している。 自宅でヨガ教室を開催する施主はリビングが活動の場。時としてこのリビングを住まいとして独立させるために、プラン中央に階段、隣接する場所に納戸を配した。 またリビングと階段の間の壁のガラス床とトップライトが上下階の気配を感じさせる。寝室間に配した曲調の収納はオブジェのようであり、吹き抜けを介して対峙している。 このようなコンパクトな住宅の中で、異なる部屋を関連付け行き止まり感が感じられないのは、南北に抜ける光や緑によってもたらされた明るい空間と言えるだろう。
吉田豊建築設計事務所 広島県 建築家
ガーデンの光が奥行きを生み出すリノベーション
RC造の築50年以上のマンションをリノベーションした一室。 施主夫婦の父親がマンションのオーナーであり、賃貸活用も見据えたもの。 ローコストながら、敢えてそれぞれ1kだった2つの部屋を取り壊し1世帯とし、設備や間仕切りなどの全てを撤去しての計画だった。 建物が角地に面しており、雑然としながらも大小の開口部を持ったものであった。そこで道路に面した外周部はそれに沿って、明るい外部的空間「ガーデン」とし、リビングを取り囲む構成とした。 この庭のような「ガーデン」は寝室、浴室、ワークスペース、洗濯干場と動線で繋がり、外壁に面した開口部を白塗装とし、カーテンで光を取り入れた。 既存の雑然とした外部環境を解消し、リビング側にも設けられたカーテンによってやわらかな光と奥行き感を内部に取り込むことができた。 総床面積約55平方メートルと決して広くはない一室の中に、リビングを取り囲むガーデンの多様性が光と共に奥行きを十分に生み出した一室となっている。
武藤圭太郎建築設計事務所 岐阜県 建築家